上がり3ハロンとは?ラップタイムで馬券を当てることはできるか?見方・使い方

【上がり3ハロンとは?】
私(ブエナ)の経験則で書けば、


「上がり3ハロンとは、そのレースのラスト600mのタイムのこと」

「過去走の上がり3Fを見ることで、そのレースの馬場状態と展開が大体わかるかなと」

「この上がり3ハロンは、競馬新聞などで簡単にチェックできるが、上がりタイムが速いこと自体に意味はないと思う」

「上がり3ハロン予想が威力を発揮するのは、瞬発力勝負のレース、あるいは先行脚質との組み合わせと、私は考える」



ではこの件について、私なりに考察してみたいと思います。



▼日本の競馬で、最も重視されることが多いラップタイムが「上がり3ハロン」です。

上がり3ハロンというのは、要するに「最後の600メートルのタイム」です。


競馬はほとんどのレースが、「ラストスパート」という形で、最後の600メートルにペースアップします。

この最後の正念場でどれだけ頑張ったか?を表すのが上がり3ハロンですね。

上がりサンハ



▼1ハロン200メートルですから、3ハロンは600メートルということ。

この上がり3ハロンのタイムは、競馬中継や競馬新聞等でも、馬の能力を表すのによく使われるラップタイムです。


しかしこの上がり3ハロンだけを見ていても、馬券を当てることはおろか、馬券で利益を出すことは出来ないと思う。

上がり3ハロンのタイムというのは、芝の状態や、距離や、ペースによってコロコロ変わるからです。



▼開幕週でパンパンの良馬場だったら、上がり3ハロンは当然に速くなりますし、距離が短ければ短いほど、上がり3ハロンは速くなりやすい。

また、スローペースで道中はゆっくりと進み、最後のラストスパート勝負になる場合、上がり3ハロンは、すべての馬が速くなるということになります。

ざっくりとした目安としては、「上がり33秒台」なら速いと言えます。
(あくまで私ブエナの見解です)



▼ちなみに2013年のスプリンターズステークスで、2着に負けたハクサンムーンは、アイビスサマーダッシュで上り3ハロン、31.9という、すごいラップタイムを計測しました。

が、これは1,000メートルのレースなので、一緒に走った他の馬たちも、みんな上がり32秒台で走っているわけ。



▼なので、上がり3ハロンというのは、その数字だけを見て抽出しても何の意味もないわけです。

しかし、上がり3ハロンが有効に使える場面もあります。

それは、「速い上がりが予想されるレース」です。



▼上がり3ハロンは、馬の能力を表すわけではありませんが、少なくとも最後の600メートルでどれだけペースアップできるか?という能力の見極めには使えるわけです。


馬にはそれぞれタイプがあり、「スタミナはあるけど最高速が遅い馬」とか、「スタミナはないけど最後の600メートルの最高速なら速い馬」、等々いろんなタイプがいるわけです。



▼たとえば、メンバーを見てスローペース濃厚、しかも芝の状態も絶好、ということになれば上がりの速い決着になることが予想されます。

そうなってくると、過去に速い上がりを計測している馬は、狙いやすいということになる。

逆に馬場が悪かったり、ハイペースが予想されるレースの場合は、上がりが遅くなるので、今まで速い上がりを記録して人気になっている馬は危ないということになります。



▼このように上がり3ハロンというのは、単純にそのラップタイムが優秀な馬を狙うのではなく、レースの状況に応じて適用する。

上がりが速い馬を狙うのか?それとも、スタミナタイプを狙うのか?

この見極めが馬券利益を出すために重要になってくると、私ブエナは思うわけです。



▼さて、それでは実際のデータも見てみましょう。


【上がり3ハロン データ】 2005~2015
約7248レース分析
特別戦
芝レース
(ブエナ調べ)


◆前走で上がり3ハロン最速だった馬
単勝回収率78%



はい。
前走で、出走メンバー中、最速の上がりを使った馬。

そのような馬の単勝を買い続けても、回収率は78%にしかなりません。大赤字です。

上述したように、「上がり3ハロン」というのは、必勝の指数ではなく、ただ傾向をつかむためのものであるということがわかります。

では、ここから少し絞り込んでみます。



◆前走で上がり3ハロン最速だった馬
かつ前走で、逃げor先行した馬
単勝回収率95%



はい。
前走で、「先行したにもかかわらず、上りが最速だった馬」は、回収期待値が一気に上がります。

通常、上がり3ハロンというのは、追い込み脚質の馬が速いタイムを出す。

これは当たり前で、道中でゆっくり走っていた馬の方が、最後の600メートルは余力が残っているからですね。


しかし、先行したにもかかわらず、上りが最速だったという事は、能力的にかなり抜けていたということになります。

このような馬は、次走の期待値が上昇するということになります。狙い目ですね。
(あくまで私ブエナの見解です)



◆前走で上がり3ハロン最速だった馬
騎手 回収率データ

Mデムーロ 100%
ルメール 140%
浜中俊 111%
田辺裕信 158%



はい。
「前走で上がり3ハロン最速だった馬」に、上記の騎手が乗った場合、過去10年データでは、単勝を買い続けるだけで利益が出るということになります。

「速い脚を使える馬を御すのが、得意な騎手」という感じで、頭に入れておくと良いかもしれません。



▼ということで本日は、上がり3ハロンについて、私ブエナの独断と偏見で書いてみました。

上がり3ハロン「単品」ではほとんど使えませんが、上述したように他の要素と組み合わせることで、たかが上がり3ハロンでも、利益を出せる武器に変わります。

ご参考まで。

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私(ブエナ)が、馬券知識を増やすために学んだサイトは、

やっぱり⇒『マツリダ予想』です。




重賞レースの上がり3ハロンデータ

▼上がり3ハロンについての考察を続けます。

先ほどは、特別戦のデータを見てみましたが、今回は重賞レースのデータを見てみます。


【重賞レース】 2010~2016.10
748レース分析(ブエナ調べ)


前走で上がり3ハロン1位
単勝回収率 74%


今走で上がり3ハロン1位
単勝回収率 241%


はい。
重賞レースの競馬新聞(馬柱)を見て、前走の上がりが最速だったから単勝を購入する、ということをやっても、回収率は74%にしかならない。

しかし、そのレースでの上がりが最速の馬は、かなり期待値が高くなる。



▼この辺はややこしいところですが、上がり3ハロンはレースに勝つためには重要なタイムである、と言える。

しかし、前走の上がり3ハロンが最速だったからといって、今回も最速になるわけでは無い。



▼それはまず、メンバー間のパワーバランス、といった問題があります。

前走では、メンバーが弱かったから、上がりが最速だった馬。

このような馬がそのメンバーの中で、上がり最速で勝ち、昇級する。

すると、上のクラスに上がるのでメンバーは強くなり、前走では上がり最速だったけど、今回は上がり最速にならない、というケースも多いです。



▼重賞レースの場合は、究極の頂上決戦なので、前走であまり速い上がりを使ってしまうと、疲労が残り、今走で同じ脚が使えないこともある。

そして、「上がり最速」というのは、絶対的な脚力ではなく、展開やレースの流れによって大きく変わってしまうものです。



▼つまり、「前走で上がり3ハロン最速馬」というのは、「前走ではすべてがうまくいった馬」とも取れる。

だから、その上がり3ハロンのタイムが、単純に馬の能力を表している訳ではないと思うわけです。

なので上述の通り、私ブエナの場合は、上がり3ハロンのタイムは、単品ではなく、他の要素との組み合わせで活用していくことが多いです。



▼さて、少し具体的に、私が上がり3ハロン予想で馬券を当てたレースについても考察してみます。

例えば、「2017年のプロキオンステークス」


1着 キングズガード(5番人気)

前走(天保山S) 上がり3ハロン最速
前残りの流れを、ただ1頭追い込んで2着だった



▼はい。
このレースはダート戦ですが、馬連と三連複が綺麗に取れたレースでした。

勝ったキングズガードは、上述の通り、前走の上がり3ハロンが最速。

しかも、スローペースで前残りのレースを、追い込んで2着というかなり強い競馬でした。



▼このレースには、同じく前走上がり最速のイーデンホールが出走していましたが、私はこちらは軽視。

イーデンホールの前走 栗東Sは、確かに上がりは最速なんですが、先程のキングズガードと違って、追い込み馬に有利な流れだった。

同じ上がり最速でも、「価値が違った」わけです。



▼理想を言えば、「前走先行して上がり最速」がベストなんですが、そのような馬はなかなかいないので、基本的には、今回のように差し馬から「上がり最速の高期待値馬」を探すことになる。

その場合は、「展開に恵まれたレースだったのではないか?」と疑うことが非常に重要になると思うわけです。



▼さて、ここまで書いてきたように、「単純な上がり3ハロン最速馬」は、儲からない。

この理由を改めて客観的に考えてみると、

上がり3ハロン最速馬は、追い込み馬が多いから

という部分もあるのではないか?



▼上がり3ハロンが一番速いということは、多くの場合、後方から追い込んでいるケースが多い。

これは当たり前で、前半で力を温存するからこそ、ラスト600メートルで全力を出せるわけですね。

ただ、ここに落とし穴がある。



▼当ブログでいつも書いているように、競馬において追い込み馬というのは「儲からない」わけです。

競馬で一番儲かるのは「逃げ馬」

競馬で一番儲からないのは「追い込み馬」


これはデータ分析すればわかると思いますが、多くの場合、このような傾向になります。



▼なので私ブエナは、軸馬を選ぶ場合でも、先行馬から選ぶのが良いといつも書いています。

競馬ファンは追い込み馬が大好き。

派手な追い込みはかっこいいので、とても人気になります。

しかし、期待値という面から考えると、派手な追い込み馬はあまり手を出したくないわけ。



▼追い込み馬は不利を受けやすい。だから期待値が低くなりやすい。

そして、上がり3ハロン最速という事は、追い込み馬である可能性が高くなるわけです。

だから単純な上がり最速狙いは、利益につながらないのかなと私は感じるわけです。



▼ではここで、また私が実際に、上がり3ハロンで馬券を的中したレースを見てみましょう。

阪神大賞典2020年

1着 ユーキャンスマイル(2番人気)
2着 トーセンカンビーナ(5番人気)
3着 メイショウテンゲン(4番人気)



はい。
このレースは、1番人気が断然人気のキセキ。

ですが、今まで中距離で走ってきたキセキが、長距離でも同じパフォーマンスを発揮できるか未知数だったし、未知数なのに単勝1.6倍は、明らかに過剰人気でした。



▼そこで、軸は迷わず2番人気のユーキャンスマイル。

長距離戦では信頼できる、岩田騎手ということもあり、軸は迷いませんでした。



▼問題は、ヒモに何を狙うか?

頭数は10頭。少頭数です。

しかも、これといった逃げ馬不在で、スローペースが予想される。
(実際はキセキが暴走してミドルペースでしたが)



▼これらを勘案すると、「ヒモは、前走上がり3ハロン最速組で行けるか?」と予想。

メンバーを眺めると、前走で上がり3ハロン最速だったのは、

トーセンカンビーナ
メイショウテンゲン
ボスジラ

の3頭。

相手3頭なら、読みが外れても特に資金的なダメージは無い。

ということで馬券は、「ユーキャンスマイルから三連複流し。相手3頭」という形にしました。
(それ以外にも馬券は購入しましたが)



▼結果は、想定していた展開とはちょっと違いましたが、軸のユーキャンスマイルが1着。

前走上がり3ハロン最速組が2~3着となり、三連複は3点で7550円という、ビッグボーナスになりました。



▼このレースのポイントは、まず断然人気のキセキを軸馬にしなかったこと。

当ブログではいつも書いていますが、断然人気馬を軸馬にすると、回収率がなかなか上がらないので、避けた方が良いです。

断然人気の馬がいる時は、

「そのレースは見送り」
「2~3番人気に軸をずらす」
「断然人気馬を絡めた三連複2頭軸」


このどれかを選択していくと、回収率が上がりやすくなります。



▼今回の場合は、「2~3番人気に軸をずらす」という手法を選択しました。

2~3番人気ということで、軸候補はユーキャンスマイルかボスジラ、ということになりますが、ボスジラは完全に格下馬だったので、ここは軸ユーキャンスマイルで問題なかったかと思います。



▼ヒモは、中穴2頭で決まったので、特に難しい事はなかったと思いますが、今回に関しては、「前走上がり3ハロン最速」という点がポイントになりました。

スローペース濃厚な場合、速い上がりを使える馬を狙うのが鉄則。

そう考えると、今回のヒモの狙い方に、明確な優位性があったことがわかります。


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